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ゆったり楽しむ高等数学 【第22回】ルジャンドル多項式 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 【趣旨】 数学の楽しみ方には二つ(もっと?)あると思います。 一つは今ある知識を使って難問を解く楽しみ。 もう一つは数学の美しい理論体系を知る楽しみ。 このメルマガでは後者を読者として想定し、だいたい月一回の ペースで高等数学の基礎的な問題を出題します。 ※初めてこのメルマガを読まれる方は、 http://phys.co-suite.jp/melmag.html にも目を通していただけると、よりお楽しみいただけます。 このメルマガの意義と読み方を簡単に説明しています。 ==== 数式表示について ==== このメルマガでは数式はLatexの表記法を使用しています。 かなり読みにくいと思いますので、 http://phys.co-suite.jp/melmag/022.html でも、同じ内容を掲載していますので、ご覧ください(表示に少し時間がかかります)。 また、上記ページが正しく表示されないという方は、PDF化した http://phys.co-suite.jp/melmag/022.pdf の方をご覧ください。 ■前回の問題と解答例■ [問] 微分方程式 \[ \frac{d}{dx}\left\{ (1-x^2)\frac{dP_n}{dx} \right\} + n(n+1)P_n(x) =0 \] を満たす多項式をルジャンドル多項式という。このとき次の関係式を示せ。 \[ \int_{-1}^1 P_m(x)P_n(x)dx = 0 \] ただし、$m \neq n$。 ----------------------- [解] \begin{eqnarray*} & & \frac{d}{dx}\left\{ (1-x^2)\frac{dP_n}{dx} \right\} + n(n+1)P_n(x) =0 \\ & & \frac{d}{dx}\left\{ (1-x^2)\frac{dP_m}{dx} \right\} + m(m+1)P_m(x) =0 \end{eqnarray*} であるが、上式に $P_m(x)$ を、下式に $P_n(x)$ をそれぞれかけて差をとり、積分すると \begin{eqnarray*} & & \int_{-1}^1 dx \left[ P_m(x)\frac{d}{dx}\left\{ (1-x^2)\frac{dP_n}{dx} \right\} \right. - P_n(x)\frac{d}{dx}\left\{ (1-x^2)\frac{dP_m}{dx} \right\} \\ &+& \left. n(n+1)P_m(x)P_n(x) - m(m+1)P_m(x)P_n(x) \right] = 0 \end{eqnarray*} を得る。第一項、第二項に対して部分積分を行うと、 \begin{eqnarray*} & & \left[ (1-x^2)P_m(x)\frac{dP_n}{dx} \right]^1_{-1} - \left[ (1-x^2)P_n(x)\frac{dP_m}{dx} \right]^1_{-1} \\ &-& \int_{-1}^1 dx \left[ (1-x^2)\frac{dP_m}{dx}\frac{dP_n}{dx} - (1-x^2)\frac{dP_n}{dx}\frac{dP_m}{dx} \right] \\ &+& (n(n+1)- m(m+1))\int_{-1}^1 dxP_m(x)P_n(x) \\ &=& (n(n+1)- m(m+1))\int_{-1}^1 dxP_m(x)P_n(x) = 0 \end{eqnarray*} を得る。仮定より $m\neq n$ なので \[ \int_{-1}^1 dxP_m(x)P_n(x) = 0 \] を得る。 ----------------------- ■解説■ 実はこの解法は、「【第14回】エルミ−ト行列」でやった、「エルミート行列の、異なる固有値に対応する固有ベクトルは互いに直交する」ことを証明したときのと同じ論法です。この微分方程式を $P_n(x)$ → ベクトル、微分演算子 → 線形演算子、$n(n+1)$ → 固有値と捉えれば、この線形演算子はエルミート性を持っていることが示されます。ですので、第14回のと同じ論法が使えたのです。ちなみに量子力学では、この演算子は粒子の角運動量の大きさを表しています。 ----------------------- ■問題■ [問] それぞれ正規分布に従う確率変数 $X$ と $Y$ があり、試行の結果次のような標本が得られたとする。
このとき、$X$ と $Y$ の母分散に差があると言えるか? 有意水準 5% で答えよ。ただし、自由度 $(9,9)$ の $F$ 分布の上側 2.5% 点は $4.03$ である。 ----------------------- ■後記■ ウチの長男は初めての夏休みです。毎日遊びほうけてます。私が子供の時もそうでしたが。 宿題は、国語や算数などすぐにできるものは前倒しでやっています。一方図工など手間のかかるものはまだやっていません。これも私が子供の時と同じです。 私は図工や習字は 8/31 もしくは 9/1 にやるのが常でした。 今月末何が繰り広げられるか、今から楽しみです。 ----------------------- ▼△▼△▼△ 広告 ▼△▼△▼△▼△▼△ インターネット家庭教師 http://phys.co-suite.jp/lecture.html 数学や物理学を学びたいという方を対象に、学習のお手伝いをさせていただいております。 大学学部以上の数学と物理学(およびその周辺分野)専門になっております。 またインターネット環境を使っての学習になりますので、ご自宅にいながら勉強を進めていくことができます。 ----------------------- 本郷(ほんきょう) http://honkyo.jp/ 著者の知り合いが経営している健康関連のお店です。 特にアトピーなど肌が弱い人のためにおススメの石鹸があります。 もちろん敏感肌の方にも! ----------------------- ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ゆったり楽しむ高等数学 発行者 :柴尾昌克 e-mail :dirac_eqn(a)yahoo.co.jp (a)を@に変えてください。 公式サイト:http://phys.co-suite.jp/ メルマガ登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001366532.html _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ |