【第27回】関数の連続性



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ゆったり楽しむ高等数学
【第27回】関数の連続性

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【趣旨】
数学の楽しみ方には二つ(もっと?)あると思います。
一つは今ある知識を使って難問を解く楽しみ。
もう一つは数学の美しい理論体系を知る楽しみ。

このメルマガでは後者を読者として想定し、だいたい月一回の
ペースで高等数学の基礎的な問題を出題します。

※初めてこのメルマガを読まれる方は、
http://phys.co-suite.jp/melmag.html
にも目を通していただけると、よりお楽しみいただけます。
このメルマガの意義と読み方を簡単に説明しています。

==== 数式表示について ====
このメルマガでは数式はLatexの表記法を使用しています。
かなり読みにくいと思いますので、
http://phys.co-suite.jp/melmag/027.html
でも、同じ内容を掲載していますので、ご覧ください(表示に少し時間がかかります)。
また、上記ページが正しく表示されないという方は、PDF化した
http://phys.co-suite.jp/melmag/027.pdf
の方をご覧ください。


■前回の問題と解答例■

[問] 次の関数 \begin{eqnarray*} f(x) &=& \frac{1}{q}\;\;\;(x \mathrm{は有理数で、既約分数で表したときの分母(正とする)が} q ) \\ &=& 0 \;\;\;(x \mathrm{ は無理数}) \end{eqnarray*} は $x$ が有理数となる点で不連続、$x$ が無理数となる点で連続であることを示せ。

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[解] $x$ が有理数の場合をまず考える。$x$ の既約分数表示を $p/q$ とする。ただし $q$ を正にとる。このとき $0<\epsilon<1/q$ とおけば、どのように $\delta>0$ をとっても、$(x-\delta,x+\delta)$ の開区間内に無理数 $x'$ が存在するので、$|f(x')-f(x)|=|0-1/q|=1/q>\epsilon$ となり、$f(x)$ は $x=p/q$ で不連続であることが示せた。

次に $x$ が無理数 $\alpha$ の場合を考える。任意の $\epsilon>0$ が与えられたときに $\epsilon>1/q$ なる正整数 $q$ をとる。また $p< q\alpha< p+1$ なる $p$ をとる($\alpha$ は無理数なので $p=q\alpha$ または $p+1=q\alpha$ となるようなことはないことに注意しよう)。よって $\alpha \in (p/q,(p+1)/q)$ である。ここで $I_q=(p/q,(p+1)/q)$ と書くことにする。同様に $q'< q$ なる全ての正整数 $q'$ についても $\alpha \in I_{q'}$ なる開区間 $I_{q'}$ を作る。$q'< q$ なる正整数 $q'$ は有限個なので $I_{q'}$ も有限個しかない。さて $I=\cap_{q'=1}^q I_{q'}$ を定義しよう。定義より $\alpha\in I$。$I$ の構成の仕方から、$I$ の中に含まれる任意の有理数の分母は $q$ より大きい。というのは、もし $I$ の中に $q$ 以下の整数 $q''$ を分母に持つ有理数 $r$ があるならば、$\cap_{q'=1}^q I_{q'}$ の因子の中に $I_{q''}$ が含まれているはずであり、一方 $r\notin I_{q''}$ であるから矛盾。したがって任意の有理数 $x'=r/s\in I$ に対して $|f(x')-f(\alpha)|=|1/s-0|=1/s< 1/q< \epsilon$。また、任意の無理数 $x'\in I$ に対して $|f(x')-f(\alpha)|=|0-0|=0<\epsilon$。したがって $x=\alpha$ で $f(x)$ は連続。

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■解説■

$x$ が有理数の場合に不連続であることを示すのは簡単です。$x$ のどんなに小さな近傍をとっても必ずその中に無理数があるという性質(稠密性)を使います。 $x$ が無理数の場合に連続性を示すのは、考え方は難しくないのですが、少々面倒です。$x$ の周りの近傍を十分小さくとるのですが、その際分母が小さい有理数が含まれないように十分小さくとるのが肝要です(でなければ $\epsilon$ 未満という条件を満たせなくなってしまう)。

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■問題■

[問] 群 $G$ の表現空間 $V$ 上での既約表現 $\rho$ および表現空間 $W$ 上での既約表現 $\sigma$ を考える。$V$ から $W$ への線形写像 $A$ が任意の $g\in G$ に対して \[ \sigma(g)A = A\rho(g) \] となるとき、$A$ は $V$ から $W$ の上への一対一写像であるか、または $A=0$ であることを示せ。これをシューアの補題という。

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■後記■

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
今年も本メルマガご愛顧のほどよろしくお願いします。

私のホームページを少しずつ充実させたいなどと去年は言っておりましたが、今年こそはそれを果たしていきたいと決意することを決意したい(?)と思っております。

みなさまも今年は(も)良い年でありますよう!

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